田中農場では畑の作物が元気にすくすく育つよう、ミネラルを散布しています。ミネラルは畑や作物にとって、どのような効果があるのでしょうか。
植物に、なぜミネラルは必要なの?
人間にとって、ミネラルは生理作用・発育・代謝をコントロールする重要な働きがあり、健康に欠かすことのできない成分です。
実は、それは植物にとっても同じ。ミネラルは植物の体内に取り込まれると、光合成を助けたり、病害虫への抵抗力を高めたり、生命活動全般をサポートします。
必要なミネラル量はごく少量でも、植物もミネラルが不足すると、人間と同様に具合が悪くなってしまうのです。
植物は自分の体内でミネラルを生成することはできないため、すべて外部から取り入れる必要があります。ミネラルの働きは複雑で、まだその役割が解明されていないものも数多くありますが、大切なのはバランスを保つことだといわれています。
また土壌の微生物も、ミネラルバランスが整っている環境を好み活発に活動します。微生物が活性化すれば、肥料の分解が進むため、土は良質なものに生まれ変わります。
長年にわたって、化学肥料や農薬を用いた慣行栽培を行ってきた畑の土は、土中の成分が偏り、有機質が少ないため微生物は少なくなります。また、決まった作物を1つの場所で作り続ければ、特定のミネラルが不足していきます。
ミネラルとは?
ミネラルは
・作物が元気に育つため
・土の栄養バランスを整えるため
・微生物を増やして土壌を改良するため
に必要だといえるでしょう。
野菜が必要な養分・必須元素
植物の成長には、成長の全過程で必要で外部から補給しなければならない17の元素「必須元素」が知られています。
必須元素は植物が必要な量に応じて「多量要素」と「微量要素」に分けられています。
多量要素(9つの元素)
①水素②炭素③酸素
④チッソ⑤リン⑥カリウム
⑦カルシウム⑧マグネシウム⑨硫黄
微量要素(8つの元素)
①モリブデン②銅③亜鉛④マンガン
⑤鉄⑥ホウ素⑦塩素⑧ニッケル
微量でも、植物にとっては必要不可欠な成分で、さまざまな役割を担っています。
水素、炭素、酸素以外は基本的に土壌から根を吸収することになります。作物が育つにはチッソ、リン酸、カリウムの肥料の三つが大切ですが、微量要素も欠かせません。成長に不可欠なある養分が不足していると、他の養分が足りていても、不足した養分に合わせた成長しかできなくなります。
不足した養分を補っていくと、作物は大きく丈夫に育ち、収量は増えていきます。
微量要素の役割
微量要素である8つの元素のそれぞれの役割をみていきます。
①モリブデン:窒素固定をする根粒菌の生育をサポート、硝酸から亜硝酸への還元をする
②銅:酸化還元酵素の構成成分、光合成の電子伝達系に関わる
③亜鉛:酸化還元酵素の働きをサポート、たんぱくやデンプンの合成をサポート
④マンガン:酸素の放出に関わる、葉緑素の生成をサポート
⑤鉄:葉緑素の生成をサポート、呼吸作用に関わる酵素を構成する
⑥ホウ素:細胞分裂や花粉の受精をサポート、アンモニア・カルシウム・カリウムの吸収を助ける、糖分の移行をサポート
⑦塩素:水の酸素発生反応に関わわる
⑧ニッケル:たんぱく質の合成に関わる