お米作りは種まきから収穫まで、約1年がかりの作業です。
この記事では、お米づくりの作業と年間スケジュールについて簡単に紹介します。どんなふうにお米が作られているか、ぜひ参考に読んでみてください。
米作りの年間スケジュールと作業
わたしたちが普段食べているお米は、「うるち米」という種類です。田んぼを活用した「水稲」と言う方法で育てられており、ほとんどの農家では苗を田んぼに移す「移植栽培」が行われています。
よく耳にする「田植え」とは、種から成長した苗を田んぼに移す作業ですね。地域によって、田植えの時期は異なりますが、一般的には5月から6月が多いです。そして実りの秋、9月から10月に収穫が行われます。
わたしたちの米作りの1年の流れを簡単に紹介すると、つぎのとおりです。主な作業としては、土づくり・苗づくり・田植え・収穫の4つがあります。
「田中農場の年間スケジュール」
1~3月 | 土づくり | 堆肥づくり・耕運作業 |
2~4月 | 苗づくり | 種子選別・種子消毒・播種・育苗 |
5月 | 田植え | 田起こし・代掻き・田植え |
6月~8月 | 穂を育てる | 除草・水管理 |
9月~10月 | 収穫 | 稲刈り・乾燥 |
それぞれについて紹介しますね。
米作りの作業「土づくり」|1月~3月
田中農場の自慢の野菜やお米、それらを生み出すのが「土」です。「土づくり」は、お米づくりを行う際にもすべての基礎となる作業です。
鳥取産の堆肥
田中農場では化学肥料をほとんど使っておらず、良質な国産の堆肥をフル活用しています。牛糞は鳥取和牛の肥育農家さんからいただいています。
稲・籾殻(もみがら)も、わたしたちが育てたものを活用しています。地域の生産物を循環活用していくことが、これからの農業において重要な取り組みになると考えています。
深く掘り起こす耕運作業
稲が自力で元気に育っていけるように、専用機械「プラウ」を使って30㎝以上掘り起こす耕運作業をしています。地表に近い土は痩せてしまうため、深く堀り返して下層の土と入れ替えることによって、土を休ませて再び栄養を蓄えさせています。
田中農場の土づくりについて、さらに詳しく知りたい方は「土づくりの特徴を解説!美味しいお米や野菜に必要な堆肥と耕す作業」をご覧ください。
種もみの厳選|2月~3月
つぎに行うのが、「苗づくり」です。元気な良い苗が作れるかどうかで、その年の収穫が決まると言われるほど、米作りの中でも重要な作業です。
良質な種もみを選ぶ
田中農場では、種として使うお米「種もみ」を自家栽培しています。とくにコシヒカリの種は、すべて自家栽培。ライスグレーダーという機械を使って、良い種もみを選別しています。
種もみの消毒
種もみには病原菌がついている恐れがあるため、消毒を行います。
通常は薬剤液に1日〜2日つけて種もみを消毒しますが、田中農場では、薬剤液を使っての消毒でなく、お湯による消毒「湯温消毒」です。
みなさまにより安心・安全でおいしいお米をお届けするため、苗を育てる前の段階であっても、できるかぎり薬剤や化学肥料を使わないことを心がけています。
種もみ選びや消毒などの工程については、「お米づくりの種もみ準備|種もみ選びから催芽(さいが)までの流れを解説」で紹介しています。
苗を育てる|4月
田中農場では、「ポット苗」といわれる方法でお米の苗を育てています。ポット苗は小さな穴が一体化された育苗箱になっていて、その各穴に2~4粒ずつの種をまいて育てます。
田んぼの豊富な堆肥の栄養分とミネラルをたっぷり吸って育つので、ポットの中でしっかり根付き強く太く育ち質のよい苗になるというわけです。コストと手間がかかっても、ひと株ひと株を大切に強く育てています。
苗づくりについては「元気な稲を育てるための苗づくり!苗代(なわしろ)の作り方から播種(種まき)まで」の記事でさらに詳しく紹介しています。
田んぼの準備と田植え|5月
苗が出来たら、いよいよ田植えです!その前に田植えを行うための田んぼの準備として、「田起こし」「代搔き(しろかき)」などを行います。
田起こし
「田起こし」は、固くなってしまった田んぼを耕す作業です。
代掻き
「代掻き」というのは水をはった田んぼを攪拌し、土の表面が平らにして水の深さを均等にさせる作業です。これによって土が柔らかくなり、田植えがしやすくなります。また雑草の発生を抑えるなどの効果もあるため、欠かせない作業です。
田植え
種まきから1カ月ほど経った苗は、大きく育ち田植えができる状態になります。ポット苗で育てた苗は、ひとつ2~4株で大きく育つため、病害虫に強くしっかりと根をはっているんですね。
田植えのときは、苗を田んぼに植え付ける深さ・間隔などに気を付けています。たっぷりと太陽の光が当たるようにし、ガッチリとした丈夫な稲に育つように植えます。
田中農場の所有する田んぼは、全体を合わせると125ヘクタール(東京ドーム約25個分)になります。田んぼの面積が広いため同時進行で分担し、代掻き、草刈りなども進めていきます。
田植えの流れについて「田植えの基本的な手順を解説!田んぼの準備から植え付けまで」にまとめていますので、良かったらこちらの記事も参考に読んでみてください。
穂を育てる|6月~8月
田植えが終わったら、田んぼの水を調整したり雑草取りを行って、稲が成長できる環境を整えます。
水管理
田んぼで育つお米は「うるち米」という種類で、水の多い環境に適しています。とはいえ、ずっと田んぼに水を貯めておけばいいというわけではありません。
稲の成長時期に合わせて水を抜いたり入れたり細かく調整をしています。水を抜くことによって、田んぼの土に酸素を届けたりガスを抜く効果があります。
田んぼの水管理については「田んぼの水管理とは?稲の成長時期に合わせて調整します」にまとめています。
ミネラル散布
田中農場では、農業用ドローンを使って「ミネラル散布」をしています。
たとえば、雨が降り続いた・気温が低い・台風で強い風に当たったなど稲がストレスを感じるようなときに、ミネラル液をまいて生育をサポートしています。
以前はホースをのばして手作業でまいていたので大変だったのですが、農業用ドローンが使い始めてからは、とても効率よく行えています。
出穂(しゅっすい)と稲の花
稲の茎の中からさやを割って、うす緑色の穂が出てくることを出穂(しゅっすい)といいます。
稲は穂を出すと、すぐに小さな白い花が咲きます。ひとつの穂にたくさん出てきますが、ひとつひとつの花が咲いているのははたった1~2時間ほど。穂の上から下へ向かって順番に咲いていき、数日で咲き終わります。田んぼで稲の花を見かけたら、ぜひ観察してみてください。
稲刈り|9月~10月
稲穂が黄金色に輝くと収穫の時期、秋から冬にかけて行われます。タイミングを見極めて、コンバインによる稲刈りを行っています。
お米の収穫
だいたいの目安としては、穂が出てから約40日~45日くらいでしょうか。まずは田んぼの水を抜きます。これにより土の表面が露出して、収穫作業がしやすくなります。
収穫後の稲穂は、乾燥させます。刈り取り直後のお米は水分が高く25%程度あるのですが、このまま置いておくと発酵が始まってしまうため、水分量15%程度までに手早く乾燥させる必要があります。
しかし急に乾燥させるとお米に負担がかかり、割れやすくなる恐れも……。そこで最初は風だけで乾燥させ、そのあとでボイラー乾燥させるという2段階の乾燥方法を取っています。時間をかけてじっくり乾燥させることで、お米に優しく、天日干しと変わらないお米本来のおいしさを維持することができるのです。
鳥取の気候を活かした「もみ保管」
田中農場では、収穫後も生きた米の状態で保管する「もみ保管」を行っています。もみ擦り(もみから玄米にする)せずにもみ保管をしている理由は、乾燥や酸化などをふせぐ・新鮮なおいしさを保つことができるからです。鳥取県の湿潤な気候を活かした保管方法です。
田中農場のお米は、商品を出荷する前ギリギリに精米するため、みずみずしく甘みたっぷりのお米をお届けしています。
まとめ
今回は、米作りのスケジュールと作業の流れを紹介しました。
種まきから田植えまでだけでも、多くの作業があります。みなさんの食卓にあがっているご飯も、このような道のりを乗り越えて育ったお米というわけですね。
お米がどのように育てられているのか、この記事をきっかけに少しでも知っていただければ
幸いです。
わたしたち田中農場ではお米の通販も行っていますので、ぜひご覧ください。
>>田中農場通販サイト お米のページをみる