この記事では、田んぼへのミネラル散布と農業用ドローンについて解説します。
稲がぐんぐん成長する6月〜8月は、強い日差しや台風などの気候によってストレスも受けやすい時期でもあります。田中農場では化学肥料などを使わない代わりに、天然のミネラル液を与えて稲の生育環境を整えています。
田んぼへミネラル散布を行う理由
米作りは自然が相手です。日照量や気温などの気候は、わたしたちではどうすることもできません。しかし田んぼの水の量や栄養分は、コントロール可能です。
元気に育てて収穫量を増やすためには、まずは病気が発生しないように、いかに稲を健康な状態に保ってあげるか、そこに力を注ぐことが大切になります。
そのためにミネラル散布を行って、稲への栄養補給をしています。多くの農家さんでは、化学肥料などを使われる場合もありますが、田中農場のお米はすべて特別栽培米(農薬・化学肥料ともに基準の半分以下)です。
安全で美味しいお米をお届けすることをモットーに栽培しているので、農薬など化学肥料に頼らない栽培方法をとっています。
稲の成長に欠かせない栄養は、基本的には土づくりをしっかり行うことで対策していますが、稲が不安定な状態のときにミネラル散布でサポートしています。
田中農場の土づくりは、「土づくりの特徴を解説!美味しいお米や野菜に必要な堆肥と耕す作業」にまとめています。良かったらこちら記事も読んでみてください。
稲はなぜ病気になるのか?
じつは、人間も植物も同じなのです。たとえば、人が風邪をひきやすいときをイメージしてみてください。疲れて弱っているときに免疫が下がり、風邪をひいてしまっている場合が多くありませんか?
植物も同じなんですね。「稲の健康を保ってあげる」ことで、病気に負けない稲になっていくのです。そこで田中農場では、ミネラル液をこまめにまいて稲の健全な生育を後押ししています。
稲作で必要な栄養素とは?
稲作で必要とされる主な栄養は、窒素・リン酸・カリウム・マグネシウム・カルシウムの5つだと言われています。(その他にも鉄や亜鉛、硫黄などの栄養分などもありますが、これらは水にも含まれています)
窒素 | 葉や茎の成長に必須の成分、稲の収穫量にもっとも関係する栄養素。不足すると葉から黄色っぽくなる |
リン酸 | エネルギー代謝に影響し、稲の成長を促進する。分げつや根の成長、開花をうながす。とくに成長期(分げつ期)に必要 |
カリウム | 根の成長・張りをよくし、茎を丈夫にする。植物を丈夫にして病気に対する抵抗力を高める |
マグネシウム | 葉の「葉緑素」を作る成分のひとつ。不足すると葉の緑色が薄くなり、黄色くなったり白くなったりする |
カルシウム | 根の発育に必要な成分。細胞壁に多くあり、細胞同士の結びつきを強くする |
これらの栄養素を中心にしたバランスのよい状態が、稲の品質アップ・収穫量アップには必要です。しかし栄養素(肥料)をやみくもに与えればいい、というわけではありません。
たとえば肥料を過剰に与えた結果、稲が伸びすぎて倒れやすくなってしまいます。その他にも根を痛めてしまい成長が遅れてしまったり、病害虫に弱くなってしまうこともあるので注意が必要です。
作物に必要なミネラルについては、「作物を元気にするミネラル散布」でも紹介しています。気になる方は、合わせて読んでみてください。
ミネラル散布に農業用ドローン「DJI T20」を使っています
田中農場では、ミネラル散布に農業用ドローン「DJI T20」を使っています。
2020年にクラウドファンディングで多くの方からご支援をいただき、農業用ドローンを購入しました。農業用ドローン「DJI T20」には、中央に噴霧タンクがついています。ここに天然ミネラル溶液を入れて散布作業を行っているのですね。
デジタルレーダーを搭載しており、360度すべての方向の障害物を避けて安定して作業ができます。電柱や電線などがあるので、レーダーを活用しながら行っています。
どんな地形であってもドローンがあれば、農地の上空から作業が行えるので、とても効率がよいです。
以前は人の手でホースを引っ張りながら田んぼを歩いて、散布作業を行っていました。田んぼ一面にミネラル散布するのに、20分ほどかかっていたのですが、ドローンを使い始めてからは5〜10分で終えられています。
参考|DJI T20日本版
ミネラル散布を行うタイミング
稲の様子を観察して「健康状態がよくないかもしれない」と感じた場合には、ミネラル液を散布して補っています。たとえば……
- 雨が長続きした
- 低気圧の稲の水分がとられた
- 台風で強い風にあたった
- 葉の色が薄くなってきた
このような状態のときは、稲がストレスを感じることも多くあります。稲が弱っていて、病気にかかりやすくなっているタイミングとも言えますね。
このような場合は栄養不足のサイン。低気圧や台風の前後には、定期的なミネラル散布にプラスして稲の状態を整えます。
田中農場で使っているのは、母成(ぼなり)という栽培用ミネラル溶液。22種類のミネラルがバランスよく含まれています。このミネラル溶液を300倍に薄めて散布しています。
ミネラルを散布するによって、高温や倒伏、害虫などのストレスから稲を守っています。
まとめ
今回は、田んぼへのミネラル散布と作業で使っている農業用ドローンの紹介をしました。
稲の様子をしっかり観察してミネラル散布を行うことで、成長しやすい・病気に負けない環境を整えています。
田中農場では、化学肥料は使わない・農薬もできる限り使わない方針で米作りに励んでいます。そのため、時間などがかかる場合も多いですが、農業用ドローンなどの技術を活用して作業を進めています!美味しいお米が実るように、環境づくりに努力は惜しみません。
米作りの全体的な流れについては、「美味しいお米ができるまで!米農家の年間スケジュールと作業の流れ」にまとめています。良かったらこちらの記事も読んでみてください。