私たちの食卓に欠かせない大豆。その歴史は古く、2,000年以上前に日本へとやって来たといわれています。そして今日では、多種多様な品種が育てられています。加工食品は、味噌、醤油から始まり、納豆、豆腐、豆乳、おからなど、たくさんあります。
毎日のように口にする身近な食材で、豆の王様です。そんな大豆は日本でどのように浸透し、色とりどりの大豆はどんな種類があるのでしょうか。大豆の歴史と種類について調べてみました。
全国で作られている大豆
「大豆」ときいて多く方がイメージするのは、ベージュ色のころんとした姿ではないでしょうか。じつは大豆と一口にいってもその種類はさまざま。色・大きさ・用途などで区別されています。
現在、世界中で大豆が栽培されており、界の大豆生産量は約3.6億トン。そのうち、ブラジル・アメリカ・アルゼンチンの生産が約8割を占めているそうです。日本で食べられている大豆のほとんどがアメリカ産やブラジル産です。輸入したものが中心で使われているのですね。国内の自給率は7%程度です。
とはいうものの、ほぼすべての都道府県で栽培されており、名前がわかっている大豆の種類だけで300種類以上、実際には400種類以上にものぼるといわれています。
大豆の種類と特徴
大豆は品種によって、色や大きさが違います。黄大豆・黒大豆、赤大豆・茶大豆・青大豆の5つの種類についてまとめました。それぞれ特徴をみていきましょう。
黄大豆 | 大豆のなかでも生産量、品種ともに最多の主役格の大豆です。「フクユタカ」、「エンレイ」、「タチナガハ」、「ユキホマレ」などがおもなものです。小粒を原料にしていて、節分の豆も黄大豆です。 |
黒大豆 | お正月のおせち料理に彩りを添える煮豆は黒大豆で作られています。最近では黒大豆を使った納豆や豆腐も作られています。黒大豆の皮に多く含まれる色素はポリフェノールの一種であるアントシアニンという成分。 |
赤大豆 | 各地で栽培されてきた在来種の大豆です。完熟期に表皮が赤く変化します。旨味が強くて皮が薄いので煮豆に最適。この大豆で豆腐やゆばを加工すると、ピンク色になります。黄大豆に比べて収穫量が少ないため、本格的に生産に乗り出す地域がなく生産量は少なめでした。 |
茶大豆 | 皮が薄くて柔らかく、食べやすいのが特徴です。熟す前の豆はゆでたときに甘く豊かな香りがします。やや平べったい形をしていて、煮豆、豆腐などに使われます。山形県産の「だだちゃ豆」は人気銘柄で有名です。 |
青大豆 | 熟しても黄色くならない、緑色の大豆です。おもに寒冷な気候の地域、長野や東北地方で栽培されています。豆菓子、きなこで重宝されていますが、最近では豆腐や納豆にも使用されています。豆腐にすると、風味のよいうす緑色になります。 |
一般的なのは、黄大豆・黒大豆・青大豆です。黄大豆はクセがなく、日常的によく使われている大豆の代表格です。栄養がバランスよく含まれています。
黒大豆は抗酸化物質であるアントシアニンが多く、お正月の煮豆、豆茶などで親しまれています。青大豆は黄大豆や黒大豆と比較して甘みが強いので、和菓子の材料として使われています。
種類ごとの栄養素の違い
黄大豆・黒大豆・青大豆の種類ごとに含まれる栄養素の違いを表にしました。
(いり大豆100gの場合) | 黄大豆 | 黒大豆 | 青大豆 |
エネルギー | 429kcal | 431kcal | 425kcal |
水分 | 2.5g | 2.4g | 2.7g |
たんぱく質 | 37.5g | 36.4g | 37.7g |
脂質 | 21.6g | 22g | 20.7g |
炭水化物 | 33.3g | 34.3g | 33.9g |
灰分 | 5.1g | 5g | 5g |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
大豆の種類ごとに加工方法は違う?
黄大豆・黒大豆・青大豆はそれぞれ異なる特徴を持っています。種類ごとの主な加工方法を紹介します。
黄大豆
黄大豆は汎用性が高く、もっとも一般的な大豆の種類です。日本をはじめとするアジア各国の伝統的な食品として加工されています。また植物性たんぱく質が豊富な食材としても欠かせない存在ですね。
【加工方法】
- 豆腐
- 味噌
- 醤油
- 大豆油
黒大豆
黒大豆は栄養価が高く、とくに健康を意識した食品に好まれています。抗酸化物質が豊富なため、生活習慣病の予防に役立つとされており、そのまま摂取するほかサプリなどにも加工されています。
【加工方法】
- 煮物
- 黒豆茶
- 和菓子
- サプリメント
青大豆
青大豆は、皮が緑色を帯びているのが特徴です。黄大豆や黒大豆と同じように高いたんぱく質を含んでいますが、低脂肪で甘みがあります。独自の色や風味を生かした和菓子やきなこなどにされることも多いです。
【加工方法】
- 煮豆
- ひたし豆
- 和菓子
大豆の歴史
大豆の起源は諸説ありますが、シベリア・中国・朝鮮半島・東南アジアなどが挙げらています。つる性の植物「ツルマメ」が原種であるといわれており、2,000年以上前から中国や東アジアを中心に色々な場所で栽培されていたようです。その後朝鮮半島経由で日本にやって来たといわれています。
日本における大豆の歴史
最初に日本に伝来した豆類は大豆といわれ、約2,000年前には、やって来ていたと言われています。日本における大豆の栽培は、出土品から縄文時代には始まっていたことがわかっています。
飛鳥時代には、大豆を原料とした「醬」がつくられていたことが「大宝律令」に記述があり分かっています。当時は煮豆や炒り豆に利用されるのがほとんどで、奈良時代になると発酵食品である味噌や醤油の原型である「穀醬(こくびしお)」がつくられるようになりました。また、同時期の「古事記」にも豆という言葉が記載されています。
日本国内に広く知られたのは鎌倉時代
栽培が全国的に広まったのは鎌倉時代です。そのきっかけは仏教で、「殺生禁止」という仏教の教えが浸透し、肉や魚に変わるタンパク源として、大豆が食べられるようになりました。そしてこの時代の僧侶たちが自分たちで作り始めたもので、精進料理や会席料理も誕生しました。
戦国時代には味噌が戦の保存食として作られるようになります。江戸時代は味噌、醤油などの加工食品が庶民にも広まっていき、大正時代には大量生産されるようになり、現在のように毎日の食卓に登場するようになりました。
まとめ
今回は、大豆の種類や歴史について紹介しました。
色や旨味など品種の特徴ごとに大豆を使い分けたり、彩りで使用してみたりするのも面白いですね。ぜひいろいろな大豆を活用してみてください。