和菓子やアンパンでお馴染みの食材である小豆。しかし、意識しないと意外と口にする機会はそれほど多くないのではないでしょうか。そんな身近なようで食す機会が少ない小豆ですが、実は小豆は栄養価が高くダイエット効果、美容効果が高いのです。
小豆はいつから日本で食べられているのでしょうか。小豆の歴史やお祝いで食べられる理由、小豆の栄養価について確認してみましょう。
小豆の歴史
日本に古くからある豆で、原産地は不明であるものの、日本、中国、ヒマラヤ一帯に渡り広く分布していたようです。小豆の祖先種はヤブツルアズキ。それが交雑して進化して現在の小豆に至ると考えられています。
日本では古くから利用されていて、縄文時代の遺跡から出土されています。文献では、奈良時代の「古事記」や「日本書紀」に小豆が記されています。
中国では、赤色は「厄除け」や「生命力」の色として最も好まれていて、風習で魔除け、おまじない、引っ越しや旅立ちの際に小豆は食べられました。その風習は日本にも伝わり、宮中での儀礼や行事で使用されるようになりました。神様にお供えの赤飯(古くは赤飯=赤米を炊いたものだった)を、人がお下がりとして食べる風習が、お祝い事にお赤飯を食べる現在の風習に引き継がれていきました。
また、民間療法として様々な場面で小豆は使用されていました。例えば、産後の肥立ちや便秘解消、脚気の治療のためなど。先人たちは、小豆に含まれている栄養素について知るすべがなくても、健康効果があることを知っていたのですね。
小豆の詳しい栄養素を確認してみましょう。
小豆に含まれる主な栄養素
ポリフェノール
抗酸化作用が強く、老化や様々な病気を引き起こす源「活性酸素」を無害化する作用があります。動脈硬化、ガン、生活習慣病の予防に役立ちます。ポリフェノールと聞くと赤ワインを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は小豆のほうが多くポリフェノールを含んでいます。
サポニン
ブドウ糖が脂質に変わるのを防ぎ、脂質の代謝を促進する作用があります。コレステロールや中性脂肪の増加を防ぎ、血液をサラサラにする作用があります。産後の肥立ち、イライラの改善、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞の予防に効果があります。サポニンは煮汁の灰汁に多く含まれるので、茹でる時には灰汁の取りすぎに注意しましょう。
ビタミンB1
糖質を燃やしてエネルギーを作り出すのに必要なビタミン。また、皮膚や粘膜の再生を助けてくれる働きがあります。ビタミンB1が不足すると、炭水化物のエネルギー代謝が悪くなり、疲労感が溜まったり、手足のしびれ、むくみ、便秘、神経系統の障害、動悸などの症状が起こります。
ビタミンB2
糖質、たんぱく質、脂質の代謝を助け、肌のターンオーバー周期を整えて、皮膚や粘膜、爪、髪などの再生に役立ちます。ビタミンの中でも抜群に美容効果が高いのがビタミンB2です。
鉄分
赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となります。ヘモグロビン内の鉄は全身の細胞に酸素を運ぶ働きをしてくれます。鉄が不足すると、ヘモグロビンも欠乏して、十分に血液が作られません。そうなると、末端の細胞まで酸素が十分に行き渡らず、結果めまいがしたり、疲れやすくなったりするなど貧血状態になります。また、DNAの修復・再生、異物の代謝など細胞内のエネルギー代謝にも働きかけます。
カリウム
高血圧を引き起こすのが塩分の摂り過ぎ。細胞内のカリウムと細胞外のナトリウムがバランスを取り合っていれば、血圧は正常です。しかし、塩分の取りすぎで細胞内のナトリウムが増えると、血管の細胞が敏感に反応して、血圧を上げる方向に作用してしまいます。まず塩分を控えた上で、カリウムをきちんと摂取することで高血圧を防ぐことができます。
食物繊維
食物繊維には、不溶性食物繊維(最後まで噛み切れずに口に残る)、水溶性食物繊維(海藻類や芋、こんにゃくなどに含まれる)の2種類があります。小豆に含まれる食物繊維は不溶性食物繊維。ゴボウの3倍の不溶性食物繊維が含まれています。不溶性食物繊維は、水分を吸収して便を柔らかくし、同時に膨らむことでカサ増しします。その結果、腸壁が刺激されて腸の蠕動運動が活発化し、便が押し出されて便通がよくなります。
以上のように、小豆の栄養素には美容やダイエット、健康維持、病気の予防と幅広く効果があります。
小豆はご飯に混ぜて食べたり、ヨーグルトと混ぜて「小豆ヨーグルト」にすると食べやすいですね。上手に日々の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。