今さら聞きづらい肥料の基本知識~堆肥との違い、肥料の種類や使い方の説明~

~堆肥との違い、肥料の種類や使い方の説明~ 農作業

ホームセンターに行くと、化成肥料、鶏糞、牛糞、腐葉土、培養土など様々な名前の肥料や土が置いてあり、初心者の方は違いや用途が分からず戸惑うのではないでしょうか。
ここでは肥料や堆肥の違い、目的や種類について説明していきます。


肥料とは

肥料は、植物の育ちを良くするために、土に補う栄養のことです。
自然界では肥料なしで植物がすくすく育っていますが、なぜ田畑では作物を育てるときに、肥料が必要になるのでしょうか。

肥料が必要な理由

植物は土から栄養を吸って成長します。自然界では、植物、動物、昆虫、微生物の食物連鎖で、土の栄養素は循環し続けています。落ち葉や動物のフンや死がいは微生物に分解されて、栄養分はまた土に戻ります。そのため、植物に肥料を施す必要はありません

一方、畑では作物だけが主役。雑草や害虫は取り除かれ、自然のサイクルがない環境です。土の栄養には限りがあるので、実った野菜や果実を持ち去ったぶんだけ土の有機物は失われていきます。そのため、新たに作物を育てるには、栄養分(肥料)を施す必要があります。

肥料の三大栄養素(チッソ・リン酸・カリウム)

肥料には植物の三大栄養素であるチッソ・リン酸・カリウムが主に含まれています。

チッソ

チッソは、植物が成長する上で最も必要とされる成分で、茎や葉の伸長を促進します。キャベツやアスパラガスなど葉菜類は窒素を多く必要とします。


リン

リン酸もまた、生物の細胞膜を作るのに大事な成分で、発芽、根の伸長、開花・結実に働きかけます。

カリウム

カリウムは、日照不足時の光合成をサポートしたり、病害虫や干害・冷害の抵抗力を高めるなど、生命維持に欠かせない成分です。

有機肥料

有機肥料とは、植物性や動物性の有機質を肥料にしたもの。有機質は、微生物たちに分解されることで、植物が吸収できる肥料になります。

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有機肥料は、畑の微生物や土壌動物を増やして土壌を改良します。例えば、落ち葉やもみがらのように分解に時間がかかる有機物は、肥料としての即効性はありません。しかし、固くて土に残った有機物は水や空気の通りをよくし、土を軟らかく保って水や養分を貯えます。
肥料によって、含まれる成分の量や割合が違うため、成分を考えて組み合わせて使う必要があります。

有機肥料の種類

・油かす

チッソの含有量が多く、リン酸・カリは少なめ。有機肥料の中では効果が早く、施肥から約3週間でチッソの約60パーセントが溶け出す。

・魚かす

イワシやニシンなどを煮て脂肪を抜き、乾燥・粉砕したもの。アミノ酸が豊富。植物が魚かすに含まれるアミノ酸を吸収すると、作物の味がよくなる。

・骨粉

肉を削いだ家畜の骨を荒く砕き、釜で蒸してから乾燥・粉砕したもの。植物の三大栄養素であるリン酸が多い。微生物の分解に時間がかかるため、元肥(苗の植え付け・植え替え前に土に施す肥料)にするとよい。

・鶏糞

分解が早く質がいい。チッソ、リン酸、カルシウムの含有量が多い。発酵が不十分なものは植物の根を傷めるため、追肥は植え付け位置から離して畝間・株間に施す。

・米ぬか

糖分、たんぱく質、油脂、ミネラル、ビタミンが豊富。栄養豊富なため土の微生物を増やしたり、土の団粒化を進めたりするので、土壌改良にもよい。

・緑肥

生育中の植物を、緑のまま土にすき込み肥料にする。例えば、マメ科植物の根には根粒菌という微生物が共生しており、その根粒菌が空気中のチッソをアンモニア(チッソ肥料)に変える。マメ科植物以外にも、アブラナ科やイネ科の植物が利用される。

化学肥料

化学肥料とは、無機物を原料として化学的に製造されたもので、カリウム鉱石、リン鉱石などの岩石や、空気中のチッソなどの無機物を原料につくられます。植物がすぐに吸収できるため即効性が高いのが特徴です。

化学肥料の種類

・単肥

1種類の成分のみ含む肥料。

・化成肥料

2種類以上の肥料成分を含んでいるもの。粒状に加工されているものが一般的。成分総量でチッソ、リン酸、カリウムの成分合計値が15%以上〜30%未満のものが「普通化成肥料」。30%以上のものが「高度化成肥料」。

・配合肥料

長期間効果のある有機肥料をベースに、化成肥料を配合したもの。

・緩効性肥料

水に溶けにくく、施肥したときから効き始めて、一定期間効果が長続きするもの。

有機肥料と堆肥の違い

有機肥料と堆肥は原料が同じものもあり混同しがちですが、目的が違います。

有機肥料

有機肥料は、作物を成長させるために用いる有機質の栄養分。

堆肥

堆肥とは家畜の糞や落ち葉などの有機物を微生物が分解・発酵したもので、土壌改良のために用いられるもの。


有機肥料と堆肥には、発酵の有無の違いがあります。
有機肥料は油粕、米ぬか、骨粉、魚かずなど発酵していないものも含まれますが、
堆肥は微生物の力で発酵したものです。

堆肥の効果

食物連鎖のバランスが保たれている場所では、土壌動物が動き回り、微生物が有機物を分解して土に還すので、土はふかふかです。空気や水の循環がしやすく、植物は根を張りやすい心地よい環境です。
一方で、雑草や虫が少ない田畑では、放っておくとカチカチに硬くやせた土になってしまい、植物は元気に育つことができなくなります。

堆肥は、土に次のような効果をもたらします。

堆肥がもたらす効果

①通気性、水はけ、水持ちを改善。植物の根の発達を促し、養分と水分の吸収力を高める。

②栄養分を補って、作物の生育を向上させる。

③土壌動物や微生物が多用化・活性化。土の団粒化が促進される。微生物の力で、植物に必要な養分が供給されやすくなる。

堆肥は肥料ほど栄養分を含んでいません。作物を大きく成長させたいなら、肥料と組み合わせる必要があります。


以上が、肥料の基本知識になります。
是非参考にしてみて下さい♪

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この記事を書いた人
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田中農場日誌編集部

田中農場のスタッフにより、お米や野菜の豆知識、おすすめレシピ、日々の農場の様子などを発信しています。鳥取から全国のみなさまへ「作物本来のおいしさ」をお届けできるように頑張っています!

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